最後の恋なら
「私だって…そのくらいの覚悟あるよ」
茉愛菜さんが言った
「覚悟…?」
そして茉愛菜さんはようやく顔をあげた
「尚志が最後の恋なら
私だって最後の恋にしたい
だから……」
茉愛菜さんが“だから”と言った後に
少し間が空いた
「なんですか?」
「……なんでもない」
茉愛菜さんがそう言うと
またしばらく沈黙が続く
もうこの話はやめた方がいいよな
本当に誰も間違ってないんだから
「茉愛菜さん、俺もう帰りますね」
ここでも沈黙を破ったのは俺だった
もう夜の8時だ
さすがに帰らなきゃ
「あ、ごめんね遅くまで
車で駅まで送るから」
「はいありがとうごさいます」