最後の恋なら
そして数日後
俺は足取り重くバイトへ向かう
今日で最後のバイトだからだ
少し寂しい気持ちもあるが
新たな人生を歩むのだから
仕方ないことだ
「おはよーごさいます」
俺は旅立つ雛鳥の気分だった
なんかほんとにここ辞めるのかー
って考えるとやっぱり浮かんで来るのはあの人だった
「尚志おはよー」
茉愛菜さんだ
「今日で最後?」
茉愛菜さんはいつものように振る舞う
今日は茉愛菜さんと二人で仕事だ
「今日で最後です
最後までよろしくお願いしますよー!」
俺は元気にそう言ってみる
「最後くらいはしっかりしてね!」
なんて冗談を言っていた
固くならなくてよかったけど
特に変わった事もない
仕事も朝は相変わらず暇だ
最後くらいどんとこいや!