最後の恋なら






「じゃあ、返事してくれよ
びっくりするだろ?」




何のお構いもなく当たり前の事を言う


でもそんな俺が間違っていた




「…………」



矢崎はやはり喋ってくれない




やがて眉間にシワを寄せて




泣きはじめてしまった



不気味なのが



表情が変わっていないのだ



わけがわからないが


俺は矢崎の隣に座り事情を聞く




「何があったんだよ?」



「貸して………ケータイ」



とまどいながらも俺は言われるがままにケータイを矢崎に渡す



文字を打ち込む矢崎


打ち終わった文章を俺に見せてくれる



俺は目を疑った



【言葉、上手く喋れないの。
精神病。重いやつ。】



精神病……?



さっきも“聞こえてる”と言っていたが


確かにギリギリ聞き取れるくらいの言葉だった


そして



表情が全く変わらないのも理解出来た



精神病で脳に傷がついてしまったのか…






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