最後の恋なら




茉愛菜さんは俺の手首を強く掴み
黙っているだけ





「……どうしたんですか?」



俺の手を掴んでどこか震えてる茉愛菜さんの手をどかした



「……」



まだ何も言わない茉愛菜さん



そのままどれくらい時間が経ったのかわからない





「ちょっと!!早くしてくれよ!」




お客さんの怒鳴り声と共に


俺も茉愛菜さんも我に帰る




「す、すみません!お待たせしました!」



茉愛菜さんもいつものような口調で接客を始める






しかし


俺の手首には茉愛菜さんが強く握った跡が残る




その痛みが消えるまで



あの茉愛菜さんの表情も頭の中で消えることはなかった



一体どうしちゃったんだ…?




始めての出来事に戸惑いを隠せないでいる







< 82 / 187 >

この作品をシェア

pagetop