最後の恋なら
茉愛菜さんは俺の手首を強く掴み
黙っているだけ
「……どうしたんですか?」
俺の手を掴んでどこか震えてる茉愛菜さんの手をどかした
「……」
まだ何も言わない茉愛菜さん
そのままどれくらい時間が経ったのかわからない
「ちょっと!!早くしてくれよ!」
お客さんの怒鳴り声と共に
俺も茉愛菜さんも我に帰る
「す、すみません!お待たせしました!」
茉愛菜さんもいつものような口調で接客を始める
しかし
俺の手首には茉愛菜さんが強く握った跡が残る
その痛みが消えるまで
あの茉愛菜さんの表情も頭の中で消えることはなかった
一体どうしちゃったんだ…?
始めての出来事に戸惑いを隠せないでいる