rainbow
歩…
渡瀬 歩は、私の彼氏。
いや、私の彼氏だった人。
いつも眩しいほどに笑ってて、彼の周りはいつも笑顔に溢れてた。
クラス1の人気者。
自慢の彼氏…
校舎を後にすると、私は歩のところに向かった。
周りとは違う雰囲気を持つそこは、すこし寒い気がする。
「歩、私高校生になったよ。
制服、見せに来ちゃった。」
石に向かって話す震える私の声に、答える声も、笑顔もない。
「歩…やっぱ歩と行きたかったよ…」
抑えきれない涙が、歩の上に零れ落ちた。