黄金の半跏像(A探偵団1)

広隆寺

○府警本部、外

○同、盗難課
こっそりと扉を開ける本部長。
出羽、亀山が気付く。本部長2Fを指差す。
出羽、亀山そっと抜け出す。

○同、本部長室、内
デスクにでんと座る山本本部長。
出羽と亀山が入室して敬礼。
(出羽)「本部長、御用は何でしょうか?」

本部長、デスクの上の紙をかざす。
『次の新月の夜、広隆寺の黄金の仏像を頂く。怪盗変面』
出羽、亀山、覗き込み驚く。

(出羽)「こ、これは?」
(本部長)「私が書いた」
ガクッとする二人。

○広隆寺、境内
本殿の真裏の白土塀。
愛と太一が塀を乗り越えて忍び込む。
本殿脇から木蔭伝いに隠れながら庫裏に近づく。
せむし男が庭を掃いている。
住職と出羽、亀山が話している。

(住職)「近頃変わったことと言われても?」
(出羽)「ほら、たとえば脅迫状とかお面とか?」
住職、腕組みして考え込む。
メモを取る亀山、ちらちらとせむし男と目が合う。
木蔭から愛と太一が覗いている。

(住職)「おお、そういえば」
住職、僧衣をまさぐるが見つからず、付近を捜す。
せむし男が近づいてきて紙くずを住職に渡す。

(住職)「おお、これじゃ」
せむし男、またもとのところに戻り掃きはじめる。
出羽、亀山、二人の動きを見つめている。

(住職)「子供のいたずらじゃと思うとったがの」
住職、紙を手にかざす。
『次の新月の夜、広隆寺の黄金の仏像を頂く。怪盗変面』

出羽、亀山、驚く。
(出羽)「こ、これは?まさか?」

笑う本部長のイメージカット。
愛と太一、顔を見合わせて木蔭から姿を消す。

(出羽)「(せむし男を見)あの男は?」
(住職)「ああ、あの作男はおしでな。耳もよく聞こえない。
もう30年以上になるかな・・・捨て子じゃよ。門前にな」
出羽、亀山、悲しげにうなづく。
< 8 / 24 >

この作品をシェア

pagetop