死者は生者に取って代わって
プロローグ
ここは、死者が蔓延る世界。
死者が労働者としてイキル世界。
死者は食物連鎖のピラミッドでいう一番下の層である。よって、その数が多い。
生者を2とするなら、死者は8。
当たり前である。生者は死を持って減少するが、死者は死を持って増えていくのだから。そうして、彼らはただ労働をするだけの生者達の都合のよいモノとなる。
ここは死者が蔓延る世界。
死者が溢れる世界。
死者は思考がない。だから、従順である。と皆は言う。しかし、本当にそうだろうか。彼らは確かに表情は冷え切っているし、言葉も発しない。だが、それが従順であることとイコールであると言えるだろうか。
彼らが表情を出さないのも言葉を発しないのもそう生者が改造したからに違いないのだ。
彼らの瞳は何も映さない。だが、どうしても意志が感じられるように見えて仕方がない。ゆらゆらと青い炎が揺らめいている。いつかいつかと何かの機会を窺っているように。
目には目を歯には歯をと。
果たして死してなお、労働を強いられている彼らは本当に何も考えず感じずにいるのだろうか。
僕は毎日、そう思いながら彼らが働いているのを監視している。
そう、僕は食品工場の死者監視員。