5つの扉
軽食を持ち保健室のドアを開くと、そこには七瀬先生と……東雲?
「それは熱があるからじゃないのよ」
「え?……なんでなんだろう……」
二人はこちらに気づいていない。
「……私、変なのかな」
きっと東雲の顔は暗く落ち込んでいるだろう。いつもなら笑顔を絶やさない彼女が、だ。
「あ、桜庭先生」
「え!?」
椅子から飛び上がってこちらを見た東雲は、やはり頬が紅潮していた。
目が合うと 赤面。
と思うと、次はまた何かを考え込み暗い顔に戻っていた。
「……二人って、そういう関係?」
「……え?東雲さん」
東雲の目からはうっすらと涙が浮かんでいる。
七瀬先生は困惑しながら、俺と東雲を見比べた
……空気が重い。
「ごめんなさい、気分悪くなったから……早退します。邪魔してごめんなさい」
「え、東雲!」
弁解の余地も与えず東雲は走っていった。