5つの扉
「……もし良かったら協力しましょうか?」
「本当ですか!?是非お願いします!」
全部東雲の為だ。いや、他の生徒の為にもなるだろう。
やはり若い男教師となると……好意を寄せられることもある。
「それじゃ、これから毎日一緒にお昼食べましょうか。よかったらお弁当も作りますよ」
「え!?そんなの悪いですって」
「いいんですよ。一人分も二人分も変わらないし……それにより恋人らしいでしょう?」
確かにそうだ。
申し訳ないですけど……お願いします、といった。
七瀬先生の笑い方はいつも上品だ。静かに笑う。
微笑んでいるという表現がふさわしい。
それにしてもこんな美人な人と、
“偽装”だとしても恋人になれるなんて……
まるで夢みたいなことが起きたものだと 本気でそう思っていた。