『大切なもの…。』
その時間と言うのは、
彼がもともと別の用事で家を出るから、その用事の前に、
少し時間がとれるというものだった。


私は一生懸命、フル回転で考えた。
そして出した答えは…。


『分かりました。今度の土曜日なら大丈夫です!!』


自分の掲げた誓いを更に強く誓いなおす形で…。


話をするくらいなら…。
そこから一歩を踏み出さなければいいんだ。


この約束をした日から土曜日までは長かった。
待ち遠しくて仕方なかった。


そして週末はやってきた。
特に細かい打ち合わせはしていなかったが彼が家を出るときに
メールをするから、それから家を出ればいいということで、


『今、出たよ』


の彼のメールを携帯を握り締め待つ自分にはにかんだ。

それから彼と会えたのは、数分後のこと。
すぐ近くにある小さな町の夜景が見える丘の上で彼の車を停めた。
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