『大切なもの…。』
私の『心』は、信じられないくらいドキドキと弾み、
今にも彼に鼓動が伝わるのではないかと心配だった。


でも、冷静を装いながら他愛もない会話をする。


ふっと気づくと恋愛の話になり、私は5年前の失恋の話を素直に
彼に話し始めていた。


彼が言った『二人で話がしたいな』という言葉とおり、この数時間
は話をして終わった。


彼は私を家の前でおろすと、もともと計画していた自分の用事のため
出かけて行った。


部屋に戻り携帯を握り彼へお礼のメールをする。

『いっぱいお話ができて嬉しかったです』

この一行が精一杯の『心』の表現だった。


これ以上、一歩は踏み出さないと誓った私の中での精一杯の…。



そのメールに彼は…

『俺も楽しかったよ。また二人で会えたらいいね』

私は知らずのうちに目に涙を浮かべていた。
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