後ろ姿に恋してる
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ユイと俺は恋人だった。
付き合っていた、いや付き合っている状態のままなのかも知れない。
「ユイ、今でもお前は夢に出てくるんだな」
変わらない声で、笑顔で、好きだと囁いて夢に消えていく。
そんなのまるで桃源郷じゃないか。
儚さを持ったまま、ユイという存在を捨てきれず俺はハルとつきあっている。
最近では、ユイがずっと夢に出てくる。
悲しそうに微笑んで、俺を見ている。
「……こんなにも、好きなのになっ……」
震える身体を抱きしめて、暗くなった部屋で1人うずくまっている。