後ろ姿に恋してる


その日は少し遅めの退社になった。

ふらつく足で電車に乗り込み、人混みに洗われて何とも言えない気持ちだ。



「……くぁ……」

欠伸が零れる。今日は疲れたな、なんて誰も居ない家に向かって足を進める。


「………ん?」

アパートの玄関前(俺の部屋前)に、ダンボールの何かが置いてあった。


なんだあれ?

それを確認しないと家にも入りづらい。

暗い暗闇の中を、電灯に照らされて浮かび上がるその場所にふらつく足で近づいていった。


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