後ろ姿に恋してる
「……あたしだって好きだよ」
ふてくされた子供の様に、あたしは呟いた。
「…自分だけが好きですみたいな言い方嫌い」
「ごめん、ごめん。ハル、手だしな?」
「…こう?」
器型のように差し出した手に小さな子猫が乗せられた。
「暫く見てやって、ハルに懐いてるから」
ごろごろと喉を鳴らし擦りよってくる子猫に綻んだ顔は、きっとだらしないと思う。
それでも、手に乗った暖かさは心地よくて、
「……ふふっ…」
思わず笑ってしまうんだ。
まるで貴亮の側に居るような気がして。