後ろ姿に恋してる
「引っかかった?」
ニヤリと口角をあげ意地悪く笑う貴亮に
すぐ床に押しつけられたのが分かった。
「うっ…うそつきっ!!」
「俺嘘なんか吐(つ)いてないよ」
くつくつと喉を鳴らしながら片手でブランケットを引っ張り出す貴亮に、あたしは何もいえなかった。
ハクハクと酸欠の金魚みたいに口をパクパクさせるだけで、貴亮はそれすらも面白いのか切れ長の目を細めて笑う。
「……ゔー」
「諦めようね?」
体にかかったブランケットには貴亮の匂いがついていて、それだけでも安心してしまう。
「ハル……良い子だから」