後ろ姿に恋してる
「………」
「………寝ちゃったかな?」
規則正しい寝息をたてて眠る貴亮。
暫くはその寝顔を見ていたけれど、それも直ぐに飽きて部屋の中を見渡した。
「…相変わらず、寝るだけための部屋だな」
青い布団のこのベッドの横には小さなナイトテーブルが置いてある。
そして真っ白い壁は見渡していくと黒いカーテンに茶色のドアが有るだけの質素な部屋だ。
「…さっき寝たばっかだけどさ、貴起きてよ」
起きて、おはようって頭を撫でてよ。
いつも、君は悲しそうな顔をする。
その理由は分からないけど、散り際の桜のような儚さを持ってるからあたしの前から居なくなりそうで怖い。
「…不安、なんだろうね」
言いたく無いことは聞きたくないから、不安だけが募ってく。
「早く起きて、だきしめてね?」
それまでは、眠っている君を待つから。