後ろ姿に恋してる
「……」
見る物がなくてチャンネルを切り替えていく。
「……この映画…」
「懐かしいね。二年前に上映されたやつでしょ?」
美術館で起こったファンタジー映画だった気がする。
「…最後は絵に閉じこめられて終わるんだよね」
怖くて怖くて、それでも見たいと駄々をこねて一緒に見に行った君を思い出す。
君の跡は今でもいくつも残っていて、遥香にも逃げられたくはなくて…
君を捨てきれないでいて……
「………っ…」
頬に伝っていく涙。
この涙は誰のために零しているのか…