後ろ姿に恋してる


「遥香…」

「貴亮…久しぶり」

微笑んだハルの頬は寒さで赤くなっていた。

「ごめん。待たせた」

「いいよ。会おうって言ったのはあたしだから」

首に巻いたマフラーに顔を埋めながら笑ったハル。

「話、俺も有るんだ」

「…奇遇だね」

それが似たような話なのは分かってるくせに…
ハルは強がってみせる。

抱きしめたいけれど、ハルを甘やかすわけにはいかなくて。
その役目はもう俺のものじゃないから。
持ち上げた腕を下げて俺もハルに笑って見せた。


「なぁ……」

「…うん」

「話していい?」

「………あたしからじゃ駄目、かな?」

最後の言葉は震えていて、ハルが躊躇っていることが手に取れる。


「………いいよ」

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