後ろ姿に恋してる


もう後には戻れない。戻らない。


「……別れよう」

ブラウンがかった瞳は今は伏せられている。
俺の手を取らないようにギュッとコートの裾を掴んで、辛さに耐えている。



「………あぁ…」

「………っ……駄目だね。いざ言われると悲しいや」

ほら、やっぱり強がってみせる。

「…なんでこんな出逢いだったんだろうな」

もっと違う出会いなら結末は変わっていたと思うんだ。



「ハル、俺はハルに出会えて良かったよ」

「…っ……あたしだって……っ…!!」

あぁ、駄目だ。


「ハル………っ」

強がんないでよ。
最後くらい弱さを見せてよ。


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