tears
「俺、好きな子できた」
はいはい。と、漣は心の中で呟いて道明たちの姿を目で追う。
身長の高い道明よりもほんの少しくらいしか変わらない背丈の二人。
本田慎一、五十嵐冬馬。
どちらも入学した時から話題の奴らだ。女子の間では王子と呼ばれていることは有名な話。
そいつらよりも頭一つ分くらい小さい活発そうな奴、藤枝圭介。見た目の派手さだけなら一番目立つ。
圭介の肩に手を置いて何やらふざけているのは、朝生空。
本田慎一の彼女の双子の弟である。
上品な顔立ちをしているのにひょうきんで話しやすくてはっきりしている。朝生空といるときの本田慎一はおもしろくて話しやすい人になる。元々そうなのかもしれないが、単体の本田慎一は正直に言って話しかけにくい。
そして黙って腕を組んでいるのが、望月大地。おかしな意味ではなく男から人気がある。
一人でいたって個性が強いのに、6人が揃えば黙っていても目立つ。
そんな6人のまわりにいる女子もそれだけで目立つものだが、こちらもまた個性が強い面々ばかりだ。