Märchen Dinner Time
紅い頭巾の少女はジェシカを海の方へと追い詰めながら、スカートの中からスラリと猟銃を取り出した。
どこにそんな大きなモノが入っていたのかと思うほど紅い頭巾の少女とは不釣合いな大きさに、ジェシカは戸惑いながらも決して目を逸らさなかった。
『…お姉さん』
ジェシカは紅い頭巾の少女の前でほとんど初めて声を出した。
『ねえ、どうして私を追い掛けるの?・・・危ないよ』
紅い頭巾の少女は『危ない』なんて恐れなかった。
危ないからどうと言うのだ。
危ないから楽しいのだ。
危なく無い事に刺激なんてないんだ。
『あら、私の事は"レディアンヌ"と呼んでもいいのよ?もしくは"赤ずきんちゃん"・・・なんて呼ばれてもいるわ』
ニコニコと機嫌よく答えたように見える。
『でもジェシカ、私が貴女を追いかける理由は始めに話したはずよ』
そう、ジェシカは初めて会った時に確かに聞いていた…。