声がする方へ
ーーーーーーん~!!今日もいい天気。
いくら菊乃であっても、勝手に城から出る訳にもいかず、無駄に広い城の裏庭にある、小さな小屋でゴロゴロするのが日課になっていた。
今日も何時もどうりに
小屋へ行こう、そうした時。
ーーー姫、
城の警備の兵に見つかったかと
逃げようとしたとき。
「逃げないで。一緒にあそぼ。」
と優しい声色で男のコが喋りかけてきた。
振り向いた琴乃は、その声に向かって言った。
「貴方は誰?」
「僕は聡太だよ」
聡太と名乗る少年は菊乃より2、3歳年上だろうか。
背は高くもなく、琴乃よりほんの少し高めの目線から形の良い、アーモンド型の瞳がこちらの様子を伺うかの様に覗きこんでいる。