いけにえ系男子【BL】
奴らは何故か持っている拡声器で、中の俺たちに呼びかけた。
総長の女を差し出せば、他の奴に危害は加えないと。
……これは確実に中に居る奴を把握していたな。
外見に似合わずこれまた男前な性格の彼女さんは、言われるままに外に出て行こうとした。
アイツらは総長に個人的な恨みがあるんだから(そうらしい)、俺たちには関係無い。
彼女さんはそんな事を言った。
弱い事を知ってる俺らに無茶させて怪我をさせたくないと。
「でも貴女に何かあったら……!」
総長は悲しむとかそんなレベルじゃ済まないに決まっている。
だから引き留めようとする俺に、彼女さんは言った。
「アイツと私は一心同体だもん、大丈夫」
それは一体どういう意味なのか。
薄く浮かべた笑みの理由が俺には解らなかった。
けれど、そう言われても黙って行かせる訳にはいかない。
その場の全員で彼女さんを引き留め、総長に連絡を取った。