いけにえ系男子【BL】
どうやら相手方の総長は来ていないらしい。
バイクの後ろに乗せられて、どこかへと連れて行かれる。
……見れば見るほど、黄色い。
ノーヘルで風になびく男の髪は、
色を抜いた上に黄色を被せているんだろうか。
金髪どころじゃない。絵具で塗ったような色だ。
そんな奇抜な頭をしているけれど、俺にはメットを渡してきた。
多分、余分に誰も持っていなかったから自分のを貸したんだろう。
見た目に反して紳士的かもしれない。
出来るだけ顔を上げないように気を付けて被ったメットは、少し大きかった。
荒っぽい運転に、どうか事故りませんようにと祈りながら、黄色頭の腰に回した腕に力を込めた。
……彼が何か言ったようだったが何も聞き取れない。
力を入れ過ぎだったのかもしれない。
うん、きっとそれだ。
俺だって腐っても男なんだから。
少しだけ力を緩めたけれど、また何かを言われた。
でもやっぱり何も聞き取れない。