いけにえ系男子【BL】
そうこうして、相手チームの溜まり場らしき場所へと到着してしまった。
営業しているのかどうか解らない、薄暗い飲食店。
そこに数十人の男たちがガヤガヤと集まっている。
なのに俺たちが入ってきた途端、喋っていた声も、飲み物を呷る手も止めてしまう。
一気に向けられる、人数の倍の目。
わぁ、こんなに見つめられちゃって、俺ってば人気者ー!
とか現実逃避してみたけど3秒も持たずに消え去ってしまった。
無理、無理!
絶対無理です総長!
彼女さんのふりを貫き通す以前に、この場でまっすぐに立っている事がまず耐えられそうにない。
目の前が一瞬ブラックアウトし、思わず後ろに倒れそうになってしまう。
そこをすかさず支える黄色頭……
「心配すんな、殴ったりはしねぇよ」
俺が体勢を整えると、そっと支えていた手を放した。
やっぱり彼は紳士のようだ。
ちょっとだけホッとして肩の力を抜く。