いけにえ系男子【BL】
その手に黄色頭は紳士らしく優しく自分の手を重ねた。
緊張のあまりか冷え切った手に、彼の手は温かく心地いい。
助けて!と念じた思いが通じたのかどうかは解らない。
「総長」
黄色頭が静かに呼びかける。
少し間を置いて、また彼は喋る。
「怯えてるんで」
その言葉で、伸びてきた手は1度降ろされた。
あれ?意外とこっちも紳士?
それとも女には優しくする主義?……だったらそもそも怯えさせんなってんだよな。連れてくんな。
ちょっとだけ強気になった俺の心を知ってか知らずか、急に視界は明るくなった。
その理由?
前からではなく横から、
黄色頭ではない隣に居た奴が俺のフードを取り去っていたからだ。
「えー」
取り去った本人が、残念がるような声が聞こえた。
そしてその声には聞き覚えがある。
多分、外へ連れ出された直後に冷やかすような声をかけてきたのと同じ人物だ。
声の主の事を思い出したのも、きっと現実逃避の一環だった。
ヤバい。
改めてそう思ったのは、また前から伸びてきた手が、今度こそ俺に届いたから。