舞蝶-華虎*守りたいもの*
私は渡辺さんと一緒に教室まで来た。

この学校外装はかなり荒れてたけど廊下はそうでもない。
いや、むしろ綺麗だ。
さっき渡辺さんに聞いたら「理事長の圧力ですよ」と笑って答えてくれた。

全くワラエナイヨ。
あの優しそうな理事長が、だよ。
人は外見によらないっていう都市伝説は本当だったみたいだ。




教室を横目で見てみると渡辺さんが何か生徒と話してるみたいだ。
それに興味はないから聞くつもりはないが、早く紹介してほしい。
ここに一人って寂しいもんだ。

「おーい佐藤入れ」
さっきとは違う俺様風な渡辺さん。
いやー人って変わるんですね。

私はよそよそと教室に入る。
転校生って何するんだろ……。

「佐藤遥です」

とりあえず名前を言っといた。
教室の空気がおかしくなったのには目を塞ぐよ。
うん、私の所為じゃない。

「席どこですか?」
表情を変えず渡辺さんに問いかけると

「窓側の一番後ろだ」
と表情を変えず言われた。
パクられた気分だ。

悔しいので返事はせずに席へ向かった。

いやー。小説的展開ですよ。
周りには人がいない。

この学校には全国№1の華虎-ハルト-がいるらしい。


出来ればそういう人たちとは関わりたくない。
でも一目はみたいというのが人間の心理なのかも知れない。

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