まっすぐなキミにまっすぐな愛を。
在るのは外を通り過ぎる車の音だけ。
久しぶりにこの家に足を踏み入れたあたしは和室に通され、葉子さんと向かい合って座っていた。
葉子さんは、あたしのおばさんに当たる人。
正式には、お母さんのお兄さんの奥さん。
年の割りに綺麗なこの人が昔は大好きだった。
…昔は、ね。
この家であたしは無いモノとして扱われた。
与えられたのは部屋と食事とお金だけ。
言葉を交わしたのは2日に一度くらいだったかな…。
1人になって、ここに引き取られると聞いて少し救われた気持ちだった。
だけど、葬儀が終わり。
私達家族のことが全部わかったあとに引き取られた。
あの時の目は今でも忘れられない。
汚らわしいモノを見るような視線。
あの優しかった家族の面影はドコにもなかった。