まっすぐなキミにまっすぐな愛を。




「…なぎさ…?」




ぎゅう…と身体にしがみつくあたしを先輩は戸惑いながらも抱きしめ返してくれた。




慣れた先輩の匂いでも落ち着かない。




なんでって…そればっかりが頭の中に回る。




「お前…なぎさに何した?

昨日の奴だな?」



明らかにおかしいあたしに、先輩は田辺皐月を睨みつけた。





「俺何もしてねーっすよ?!

ただ、ケイって人のコトきーただけで…」






「………。」





先輩は新聞の記事を見てる。




だから…多分、誰のこと言ってるかわかってると思う。





その証拠に、片手であたしの頭を撫でながら抱きしめる力を強くした。






お母さん。


お父さんを刺したお母さん。







無惨な姿で倒れる2人が脳内に蘇る。






やだ…やだ…





そんなこと、思い出させないで。





あたし達に踏み込んで来ないでよ。









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