まっすぐなキミにまっすぐな愛を。
なぎさの家は、一軒家の綺麗な家だった。
「あの事件が終わって以来、警察が来たりとか親戚やらで何にも手付けてないけど…
一応まだあたしのお家なんだ…」
キーケースの2つ目の鍵でドアを開けると、少しもわっとした空気が襲いかかる。
「…埃、酷そうだな。大丈夫か?」
「うん。」
玄関には何年も置きっぱなしだった靴が何足もある。
きっと、持ち物も何も動かしていないんだろう。
「…お母さんの部屋、こっち。」
一階の一室は清潔な白でまとめられていて、やはり薄く積もったホコリだけが目立った。
「…確か、どこかに…」
ゴソゴソと棚を開けては閉め、何かを探しているなぎさ。
それに習い押し入れを開けてみた。
中は上の段は洋服で、下はケースがいくつかある。
「…なぎさ、何を探せばいい?」
………何も答えない。
不思議に思って振り向くと、何やらノートのようなモノを目に涙を溜めて読むなぎさがあった。
窓から夕暮れのオレンジ色の光が差し込み涙を照らす。
まるで絵画のような美しく物悲しい姿だった。