理事長やってマス!!!


✩「優しい光」

もぅ、”死ぬ”。

そう思った瞬間だった。
あの、優しい光が差し込んできたのは・・・。

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~男side~

「なっ!!!! 何をやっているのですかッッ!??
 小さい少女に対して!!!! 」

細い路地・・・。
そこには血まみれで浅い呼吸を繰り返す少女・・・・。


「な、だってこの子が悪いんですもの!!! そ、それに・・・。」
そう、言い訳を始める女性。。。

そんな言い訳は聞きたくない!!!
「今すぐ、ここを去れ!!! さもないと・・・。」

そこからの先は言わずにした。
そこまで、この人も馬鹿ではないだろう。

そう、脅して彼女はおびえだす。
なら、最初からやらなければいいものをッッ!!

「あたしじゃなぃ!!!」

そう叫んで彼女は消えた。
そんな事より、この子を!!!

もう、息が途切れ途切れになっている。
「今から、病院に行ってあげるからね!!」

そう言って、俺は、少女を抱きかかえようとした。
その瞬間に少女は呟いた。

「・・ご、めん・・・な・・・さ・・・い・・・。」
そういって、意識を飛ばす。

なんで、この子が謝るんだ!???
驚きで目を見開く。。。

分からない。 なぜ?

でも、分かることがただ1つ。
この少女の心はボロボロだということ。

「一刻もはやく!!!」
救急車を呼び出す時間がなかったので、タクシーで行く。

「お払いは後で払います!!!」
そう、飛び出して病院の受付の人まで向かう。

すると、看護婦は・・・。
「なっ、こないだの・・・・!!! なんで、こんなケガ?」
どうやら知り合いらしぃ。
「とっ、とりあえず手術室へ!!!」

そう指示された俺は、この子を抱いたままそこへ向かう。

「外で待っていてください。 必ず助けますからー・・・!!!」
看護婦は俺にそう言って、手術室に入った。

大丈夫だろうか???


どうか、無事であってほしい!!!


3時間ぐらい経っただろうか・・・??
手術室の扉が開いた。

医者が出てきた。
俺はすぐにあの少女の安静を確かめる。

「あっ、あの子は!!! 無事ですかッ???」
焦り気味の俺。
医者は一息はいてから、

「大丈夫です。 無事、手術は成功しました。
 ですが、頭を何回も殴られています。 記憶喪失になりかねません。
 そこだけは、覚悟しといてください。」

「フゥ。 良かった。
あっ、でも!!! 俺、親とかじゃないんです。 偶然見かけて・・・」

俺はひと息落ち着いたけど、
そうだ、あの子の両親は俺じゃなぃ!
すると、さっきの看護婦が、

「あっ、あの先生。 あの子、前の娘さんですょ。
 ほら、あの、松沢先生が担当した・・・。」

ん? なんだと?
どういうことだ?

「あぁ。。。 あの、両親さんの・・・。 なんという事・・・」
不思議でいやな予感がした俺は、

「先生!!!! どういうことですか!!!??? あの子は一体・・・。」

そう、問い詰める。
俺は、不思議でたまらなくあの子の事が気になった。
すると、先生は俺の肩を、ポンッ、とやり

「詳しくは、松沢先生に聞きなさい。 分かったかね???」
悲しそうな、笑っているのか、泣いているのか分からない顔を先生はしていた。

俺は、看護婦さんに案内されてその松沢先生のもとへと向かう。
「松沢先生はこの部屋にいます。 最後まで聞いてもらってくださいね。」

トントンッ、


「失礼します」
と、ノックをして部屋に入る。

「どうぞ。」

ガラッ・・・。

「君があの子を助けた人かぃ???」

そこにいたのは、笑顔をうかべるおじいさん。60歳位だろうか?
たぶん、これが松沢先生。

「あっ、あの・・・。」

「いいから、ここに座りなさい。」
落ち着いた喋り口で話す先生。
俺は、自分があせっていたことに気付き、冷静さを戻す。

スゥ。 とひと呼吸置いて、俺は喋りだす。
「あの、俺、南堂 魁人(みなみどう かいと)と申します。」

まずは、自己紹介・・・と思い名前を言う。
「わたしは、松沢 実(まつざわ みのる)です。」

と律儀に返してくれた。

「それで、あのあの子の事を聞きたくてこちらに来たのですが・・・。」

あぁ、という顔つきでこちらを見て話し出す松沢さん。
「あの子の両親は、ついこないだトラックに突っ込まれて、 
 事故死したんだ。 ここに運ばれて、私が手術をしたのだけど、もう手には負えなくて
 天国に逝かせてしまったんんだー・・・。あの子も病院には来たのだけれど
 もう、遅くてー・・・。」

悲しい顔をしながら空を見る松沢さん。
他にも、あの少女はヤンキーだった。とか、色々なことを知った。



でも、疑問が1つ。
「・・・ということは?? あの子は家族が・・・??」
「そうだょ。家族がいないんだ。 あの子は100%記憶喪失じゃ。
 だから、家族がいないと現実をたたきつけられたら・・・。 あの子は堕ちる。」

そうだろう。確実に・・・。 現実は時として残酷なものだ。

「それでだが、魁人くん、君、あの子の親代わりになってくれんかね???」

松沢さんの驚きの一言。
俺は、固まってしまった。

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