『短編』黒縁眼鏡のダイアリー



昼休み。

友だちと何気ない会話をしているうちに、わたしの誕生日の話になった。

わたしの誕生日は4年に1度しかやってこない。

そう。

2月29日。

家族や友だちは、その前後にいつも祝ってくれるけれど、それでもなんだか、時間の渦の中に置き去りにされているような気持ちになる時がある。

そんなこと言ったって、仕方がないんだけど。

毎年当たり前のように誕生日がやってくるみんながうらやましかった。



今年もみんなでカラオケボックスへ行って、わいわいと騒ごうと盛り上っていた時。

突然、あの先輩が教室にやって来た。

入口のところで、「春海(はるみ)くん!」と言って手招きしている。

きれいな先輩が楢崎くんを呼んでいるのを見て、クラス中が2人に注目した。

「楢崎、やるじゃん」という男子の声が聞こえる。

「楢崎くん、先輩と付き合ってるんだ」という女子の声も聞こえる。

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