『短編』黒縁眼鏡のダイアリー
微妙な沈黙が流れる。
「あのさ」
思いきって沈黙を破ると、彼はちらりと顔を向けた。
「プレゼント、ありがとう」
わたしがそれだけ言うと、彼は少し照れくさそうにしながらも、笑みを浮かべて、
「うん」
とだけ言った。
また沈黙が訪れる。
周りのすべての音が、消えてしまっているような感覚だった。
わたしはその静けさが息苦しくて、
「1日の日、駅でバスに乗ろうとしてる楢崎くん、見かけたんだよ」
と言うと、彼は少し目を見開いてこちらに顔を向けた。
「そうだったんだ」
それだけ言って彼はまた黙るので、わたしは思いきって切り出した。
「卒業式だったもんね」
すると彼は、首を傾げた。
「寂しくなるね」
わたしがそう言うと、彼は突然立ち止まった。