通りすがりの日々
(あっ今日は景さん
居る)
改札に近づくに連れて、行き交う人をすり抜けてしっかり景の姿を見つけた宮砂は、早く改札を通り過ぎたかったが、
そんな宮砂の気持ちを悟られるのも恥ずかしい気もした。
何時もと変わらない歩幅で改札に近づく、
景はまだ宮砂の姿に気が付いて無い様子。
(ちょっと驚かしちゃおうかな)そんな事を考えるとなんとなくウキウキしてしまう。
よそ見をしている景の真ん前に宮砂は、バッと立ち止まり
「こんばんは、誰かと待ち合わせですか?」
景は目をまん丸くして驚いたように
「ビックリしたよ、
やけに早いお帰りで。」
いきなり目の前に現れた宮砂にきょとんとした顔で話かける。
「ただいま。」
「おかえり、今夜何か用事が有るかな?無ければ一緒に食事でもと思って待ってたんだけど?」
「何もありませんよ、これから真っ直ぐ帰るだけですから。奢ってくれます?」
ちょっと嬉しくちょっと意地悪そうに聞いた。
「もちろん奢るよ、あまり高い料理は食べられないけど。」
「分かってます、又居酒屋がいいな。」
2人のデートコースは居酒屋に決定しつつ有るが、宮砂はそれでも満足だった。