城西高校の水城さん
「落ち着いた?」

「うん。」


志賀は私が泣いている間ずっと抱きしめていてくれた。

本当に優しい人だと思う。

でもこれは私だけに優しくしているんじゃなくてみんなにしていることなんだよね。

そんなことを思ったら胸がずきりと痛んだ。


「どうした?」

「なんでもない。」

「あ、もうこんな時間か。」


時計を見るともう11時だった。

親に連絡しなくていいのかと聞かれたけれど、遅くなると志賀の家に来た時点で言ってあったので大丈夫だ。


「そういえば、俺の家から水城の家ってどれくらいかかんの?」

「バスで30分くらい。」

「は、まじ?もうバスねえじゃん…泊まってく?」

「…え?」

「もう帰るの危ないし。タクシー代だって馬鹿になんねーじゃん?」


確かにそのとおりである。

多分親は両方とも寝てるし、お姉ちゃんは仕事だ。

迎えには来てもらえない。

お金もない。


「な?」


笑って言う志賀に苦笑を返しお願いします、と軽く頭を下げた。


「心配しなくても変なことしないから大丈夫だよ。」

「分かってるよ。」
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