恋愛トライアングル
「んじゃ、行ってくるわ。またね、明彩」
「あ、うん」
女子の私がキュンキュンするほどの笑顔で手をふる翔。
その後ろを、相変わらず眠たそうにアツが歩いていく。
「行っちゃったね。ってか、アキと中川くんってほんと熱々だよねー」
「そんなことないでしょ」
「そんなことあるよー」
そう嘆きながら、アリが校舎に向かって歩きだした。
私もあわててついていく。
「いいなぁー。私もリア充したいよー」
「アリならそのうち彼氏の一人や二人、できるでしょ」
私の言葉に、「彼氏は一人でいいでしょ」と笑うアリ。
やっぱ、アリと双子でよかったかも。
アリとこんな風に笑って、アツの眠い顔も見て、翔にも名前を呼んでもらえる。
こういう毎日っていいな。
そう思った。
この毎日が、もう少しで崩れるとは知らずに――――。