紫陽花



2,3分たった頃だろうか、圭介は短く息を吐き微妙に涙目で、「傘に入れてやるよ」と話しかけてきた。マジで助かる。

なぜ、傘に入れてくれる気になったのかは
良く分からないが、自分から幸運を逃がす事はないだろう。

そう思い、圭介に軽く笑いかける。

「サンキュ、圭介!」

「…別に」

圭介はそう呟くと、「いいから早く行こう」と笑いかけて来た。

たまには、雨の日もいいかもしれない。


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