醜女と呼ばれた姫
ずっと、孤独だった。
ようやく嫁いだと思ったら離縁されて、ひどく傷ついた。ああ、私は醜いのだと。
だが、と私は身を寄せる。それに応えるように、成正さまがぐっと引き寄せる。
あたたかい。
この人なら、きっと。
私は目を閉じる。
「生涯、君とともに私は生きていくと誓おう」
そう、私たちは、かたく誓い合った。
二人の愛は、決して変わらないと。
晴れて夫婦となった二人は、その後、たちまち人々の噂となった。
あの美形の藤原成正がついに妻をもったということ。
そしてその妻を溺愛しているらしい。
その妻というのは、醜女といわれていた女らしいが、本当は超絶美人だ、などなど。
そんな話に、二人で苦笑を漏らしながらも、寄り添いあう。
この藤原成正は、生涯で藤の君のみを妻とし、添い遂げたという。
了