醜女と呼ばれた姫
悩んでいた。
「何故父上は私を連れてきたのか」と。
歌会があるからと、父に伴って出席した。和歌を作るのが苦手な私を、どうして父上が誘ったのか。
思えば、友人らしい友人もいない私を気遣ってくれたのだろう。
だが、同じ年代の娘たちと一緒にいても、誰も私に声をかけない。
むしろ、ひそひそと話しているのでは、と私は怖かった。
やがて娘たちとともに別の部屋に移り、そこで別の歌会が始められた。
といっても歌会はほんの気まぐれにされるのみで、ほとんどがどの殿方が素敵だのと、そんな話だった。
うらやましい、と思わないこともない。