追いかけて繋ぐ恋
吉永くんは箱に入っていた子猫を拾い上げて、心配そうな顔で見つめている。

私は声を掛けようかどうしようか悩んだ。


「吉永くん!」
思い切って呼んだ。


吉永くんが振り返った。


「あ…後ろの席の…名前何だっけ?」


ガクッ…

えっ…名前覚えられていない?

私の存在って…そんなに薄い?


「綿谷です」


「綿谷…この辺に動物病院ない?」


「えっ?」


「こいつ弱っているから連れて行く」


「うちのワンちゃんがかかっている病院がここから15分くらいのとこにあるけど」


「そこ案内して」


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