追いかけて繋ぐ恋
呼んだけど、反応がない。

落ちた本を拾って顔を覗いた。


横向きになっている吉永くんの目は閉じられていた。


寝てる?


寝息が聞こえてきた。


「ゆうくん、おねんね?」


快くんも一緒に吉永くんを見た。


「寝てるから、静かにしようね」

小さい声で話した。


夏だから寒くはないだろうけど、エアコンの風があたるかな…。


何か掛けるものと部屋の中を見回すけど、何もない。


「快くん、ゆうくんに掛けるものないかな?」


「ぼく、持ってくる!」


快くんが隣りの部屋からタオルケットをズルズル引きずりながら持って来た。


それを受け取り、そっと吉永くんに掛けた。
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