追いかけて繋ぐ恋
「あたしは帰るから、早く行きな」

美帆はカバンを持って、ドアに手を掛けた。


「今から行くなんて…心の準備が…」


私はすがるように美帆のカバンを引っ張った。

美帆は私の手をカバンから離して、ギュッと握った。

「大丈夫だから。あ、ゴン太を忘れないでね」

「ねえ…この服装でいいかな?」

私は手を広げた。

美帆は上から下まで眺めて、笑った。


「ショートパンツがちょっと刺激的かもしれないけど…夏だから大丈夫かな。かわいいよ!」


美帆が帰ってから数分後、私はゴン太を入れたキャリーバッグを抱えて吉永くんちに向かった。


チャイムを押す前に大きく深呼吸。

スーハー…


ピンポーン


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