追いかけて繋ぐ恋
教室から出て行ってしまった。

吉永くんはいつも1人でいる。
誰かと話しているのを見たことがない。

人と関わるのを避けているみたいだ。


「吉永の椅子を借りよっ!」

友だちの早坂美帆は座って、弁当を広げた。


「さっきは災難だったね~」
卵焼きを口に入れた。


「うん」


「吉永に助けてもらって助かったね」


「うん」


「何よ、うんしか言わないの?」


「うん…吉永くんにお礼を言いそびれちゃったのが気になって」


「戻って来たら言えば~」


「うん、そうだね」


吉永くんは5時間目のチャイムが鳴るギリギリに戻って来て、先生がすぐに来てしまった。


また言えなかった。





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