追いかけて繋ぐ恋
吉永くんは教科書を開いて読んだ。

流暢で正確な発音だった。

訳も正しかった。


「お~」

「すごい」

「ネイティブだ!」

「かっこいい」


また教室は騒がしくなった。


「静かにしなさい!」
先生は顔を赤くして怒った。


数学も英語も完璧なんて、何者だろう。


今日の授業は5時間で終わりだ。

清掃時間になると吉永くんはカバンを持って、教室を出て行った。


ホームルームもいなかった。

帰ったのかな。

ほとんどホームルームにはいない。
その前に帰ってしまう。


外を見ると雨はまだ降っていた。

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