追いかけて繋ぐ恋
梅雨に入り、空は毎日どんよりしていた。


私は傘が壊れてしまったので、新しい傘を買いにショッピングモールに美帆と来ていた。

私がどれにしようかな~とあれこれ広げて悩んでいると、美帆が肩を叩いた。


「ねえねえ!あれ、吉永じゃない?」


私は見ていた傘を広げたまま、美帆が指差す方向を見た。


「ほんとだ」

確かに吉永くんだった。


でも、どこかのお店に入ってしまって、すぐに姿が見えなくなった。


美帆と別れて、バス停に並んだ。
前の方を見ると吉永くんがいた。

家の方向が一応同じだから、同じバスに乗っても不思議なことではない。



私は同じバスに乗れることをなぜか喜んでいた。


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