誠の桜に止まる蝶~沖田目線~
「みなさんが死んでしまう夢を見たんです。」

僕は蝶の言葉に一瞬言葉を失う。

夢の内容を告げた時の蝶の顔があまりにも儚くて

消えてしまうのではないかと思ったからだ。

「本当に現実か夢か区別がつかない夢でした。私はその夢でただみなさんが死んでいくことを見ていることしかできなかったんです。」

「蝶・・・・」

「ずっと私は嘆いて泣いているんです。自分の力を使って助けられないのはなぜって・・・・」

話しながら蝶は遠くを見つめる。

その瞳には涙がたまっていたが必死に泣かないようにしていた。

「私、怖いんです。あの夢が現実になるんじゃないかって、皆さんが死んだらどうしようって・・・・」

力なくつぶやく蝶。

まるで今にでも消えてしまうんじゃないかと思うほど頼りない肩を僕は蝶をそっと抱きしめる。

「大丈夫だよ。そんなのはただの夢でしかないんだから。」

「っでも・・・・」

「確かにそんな夢をみたら不安になると思う。だけど僕たちは絶対蝶を置いて死んだりしない。」

「本当に・・・・?」

「うん。もしかして蝶は僕の言葉が信じられないの?」

「あ、いや!」

ぎゅっと強く抱きしめる。

「泣きたいときは泣いてもいいんだよ。」
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