誠の桜に止まる蝶~沖田目線~
「硝子は壊れやすいもんさかい大切に扱わなければなりまへん。兄はんも、硝子のようにあの子を大切にしていかなあきまへんよ?」

片目をつぶり茶目っ気のある笑顔を見せる。

左「ああ、もちろんだ。ありがとうな。」

沙「あ、あの・・・・」

奥からおずおずと出てくる沙織。

白地に淡い花や蝶の模様がえがかれている着物はやはり沙織によく似合う。

「やっぱりよく似合いますなあ。」

沙「あ、ありがとうございます。」

左「よし、行くか。世話になったな。」

「かまいまへん。またお二人そろってお越しくださいね。」

亭主に礼を告げて二人で店を出る。

すこしくらい夜道を二人で歩く。

沙「あの、左之助さん。」

左「ん?どうした?」

沙「ありがとうございます。」

左「なにがだ?」

俺はわかっていてもわざと知らないふりをする。

沙「着物です。それと・・・・」

てっきり着物だけだと思っていたらまだあるらしい。

俺は沙織の言葉を待つ。
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