誠の桜に止まる蝶~沖田目線~
土方さんの命令で僕たちはそっと人ごみを抜ける。

幸い、沙織たちの方に観衆は目を向けているためなんとか蝶を連れ出すことができた。

蝶「はあ・・・あんなに人が集まるなんて思ってなかった。」

総「あれだけ綺麗な遊興なら人も集まるよ。」

季節外れの桜の花のような舞。

まるで神の愛し子のような圧倒的な存在。

蝶「でも、私はもう潜入はこりごりかも。」

総「やっぱり疲れたとか?」

蝶は仕掛けを脱ぎながら微笑む。

そしてその仕掛けをそっと僕にかける。

蝶「沙織に助けられていたから疲れはしなかったよ?でも」

総「でも?」

蝶「総司に逢えなくて、すごくさみしかった。」

そういって思いっきり僕に抱きつく。

普段恥ずかしがり屋の蝶が自分から抱きつくことなんてないから驚く。

総「そんなに僕に逢いたかったの?」

蝶「うん。すごく逢いたかった。」

総「なんか蝶が素直だと調子が狂うな。いつもみたいにからかえないや。」

蝶「総司は寂しくなかったの?」

拗ねたようにこちらを見上げる。

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