溺愛HONEY〜想いよ届け!〜



「…………別に」



かなり間を空けたあと一言だけそう言った。


昴は自分でチャンスを台無しにした。もっとこのチャンスを活かして話し掛ければいいものの。


だけど昴は寺本さんの目に自分が映ったことだけで満足なんだろうな、と思うと健気すぎて胸が痛くなる。


昔は専ら喧嘩ばっかして不良の分類だった昴がこんなにもピュアな心を抱くなんて…。


正直いまでも信じられねえ。昴と朝から学校に行くなんて中学ン時じゃ夢のまた夢だった。


すげえ荒れてたからな。いまじゃすっかり鬼は消えてウサギを追い掛ける狼になってしまった。
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