ペット化宣言


本物の隠し扉なのかと内心テンションが上がるも、それ以降は押しても奥には進まなかった。
ただ押せただけなのかな、と元に戻そうと本棚を引いたとき、ふと隣の本棚の横の部分に1冊の本が埋もれているのを見つけた。


「何この本……」


本棚から剥がすように本をとる。
それはある1冊の絵本だった。





ー【孤独な少年】ー
男の子が起きあがると、そこは荒れた土地でした。
今までの記憶を無くしていた男の子は、持っていた道具を頼りに必死で親や、自分を知っている人を探します。けれども見つけることは出来ませんでした。
男の子は自分の存在を知るため旅に出ます。そうして男の子が青年になったころには、周りにたくさんの仲間が出来ました。それでも青年の心は寂しいまま。

その心を埋めたのは一人の少女でした。
少女と青年はお互い惹かれていきます。
……しかし、少女は青年とずっと一緒にいることは出来ませんでした。少女の死によって、永遠の別れを告げられたのです。
少女を失った青年は酷く心を痛め、魔女に心を売ってしまいます。そうして青年は愛する心を捨ててしまったのでした。








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